辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

辺境ライターの高野氏が世界各地で食べた奇食・珍食を紹介する。いや世界は広いなあ。私もかなり旅行はしているほうだが、食べたことがあるのはタイのナマズ料理に揚げゆで卵くらいか。これらは普通に食堂で食べられる。なかなか旨いものだ。蟻の卵もイサーンの民家に御呼ばれしたとき食べた。悪くは無かった。それ以外は想像もつかない。食べたいとは思わないが、語り口の上手さに引かれて楽しく読める。アマゾンの巨大魚に中東のラクダ肉、ヤギの胃の中身からゴリラ肉まで。筆者は驚いたり感動したりはするが、決して珍奇な食を軽蔑はしない。そこが凡百のゲテモノ紹介とは違う。旅して情報を集め、食べる。原動力が素朴な好奇心だけなのが素晴らしい。読むだけで世界旅行をしたような満足感が得られる。他の本と違って文化や社会に踏み込んだ深さは無いが、そのかわり大量の写真が想像力を掻き立ててくれる。実用には適さないが（当たり前か）読んで楽しい辺境グルメガイドである。