リコンフィギュアード・アイ―デジタル画像による視覚文化の変容

誕生後一五〇年目に写真は死んだ、というので、つい本書を買ってしまったのだ。なかなかぞくってくるでしょ。ぼくはもともと写真、というかカメラが嫌いなんだけれど、仕事の関係でカメラをしばしば持つはめになってしまった。で、わかったこと。シャッターさえ押せれば写真は撮れるということ。そして、そうして撮った写真はもはや機械と偶然の産物でしかないこと。写真の登場は絵というものの考えを変えてしまった。あまりにも写実的だし。そして、おかげで誰もが写真に写っていることを事実だと思っていた。でも、写真がデジタルなデータになることで、いくらでも加工が可能となり、再び絵画のように作者のコントロールのもとに置かれるようになった。本書では、デジタルなデータとしての写真を、矛盾のない写真の画面として最構成するテクニックについて、多く書かれている。さらに、実際にはフィルムを使った写真にも可能な技術があり、そもそも写真自体がけっしてフィクションではないと言えるものではなかったことを証明している。しかし、いろいろ書かれているし、収録されている写真などの図版もきれいなんだけれど、やっぱり写真は死んだというコピーが与えるショックがすべてだな。